2016年9月19日月曜日

SAKEROCK~細野晴臣40年ぶりの中華街ライブ 星野源20年来の夢~


2016年5月7日(土)、横浜中華街・同發新館にて行われた細野晴臣のライブ
「a NIGHT in CHINATOWN」を観に行った。


同發でのライブは、細野晴臣にとって“ちょうどトロピカルで異国的な音楽世界に入り込んでいた”時期に行われた1976年の中華街ライブ以来となる。

細野史にとって重要なこのライブから、今年で40年。
同じ日、同じ場所で今回のライブが開催された。



横浜 光る街

日が沈み、ネオンが輝き出す中華街。
人で溢れ、ひときわ賑やかな場所に、老舗中華レストラン「同發」は聳える。

会場は「同發新館」ということだが、ここも年期が入っている。細野さんのMCでも「“新館”なのに僕らみたいに年取っちゃってるね。」という一幕が。

赤と金を基調としたいかにも中華料理店といった会場に、マーティン・デニーのSEとくれば、気分はもはやオリエンタル。
およそ200人といった狭いキャパシティの客席の前方にステージが特設されていた。




ステージ後ろの赤い垂れ幕から高田漣さん、伊賀航さん、伊藤大地さん、コシミハルさんの近年細野バンド一同が入場。
それに続き、40年前もここでティン・パン・アレーとしてドラムを叩いた林立夫さん、そして最後に細野さんが大きな拍手を持って迎えられた。

オープニング・ナンバーは「北京ダック」。
“横浜 光る街~”まさに本日の一曲目にふさわしい選曲…!
40年前もこの場所で演奏された曲だ。

曲終わり即メンバー紹介。「後回しにすると忘れちゃうからね。」と細野さん。
「40年前、僕は28歳でした。あっという間だったよね。」と、当時もメンバーだった林さんに。
「僕より年上だったよね?」とトボけ「年は取っても追い越すことはありませんから。」とツっこまれる。


「香港blues」「熱帯夜」「はらいそ」と、トロピカル3部作からの曲を立て続けに披露。
ここ中華街、同發の異国情緒と相まって、会場はトロピカルな雰囲気で溢れた。


続いて白雪姫「ハイホー」のカバー。
同曲のSP盤を幼少期に聴きいたことが、細野さんの音楽体験の原点となったという話しを聞いたことがある。
「子ども向けの曲だけど、歌うと難しいんだ。」と細野さん。
ジャジーなアレンジはさることながら、通しで改めて聞いてメロディーの良さに気づかされる一曲だ。

近年のレパートリーを数曲演奏後、「すごいゲストを呼んでいます。」と意気込もった細野さんが迎えたシークレットゲストは…。


星野源登場

「紅白にも出てここへ来た人っていないんじゃないかな。」と細野さんが呼んだのは、今をときめく星野源。
40年前の細野さんのコスプレで登場した星野源は「口ヒゲも書いて来ようと思ったんですが、明日は書きます。」と。

さらに本日演奏するのはマリンバということで、若き日の細野さんさながらの出で立ちだ。

「星野くんは努力の人です。マリンバも一生懸命練習して。マリンバ奏者になれるよ」
「僕の後は頼んだよ」という細野さんの紹介に静かに謙遜する星野源。


そんな星野源は 細野さんのことを「HOSONO HOUSEを高1のころ聴いて以来、憧れの存在です」と。
さらに、40年前の細野さんの中華街ライブの映像を見てかっこいいと思い、マリンバを始めたという。

細野さんと同じステージに立つのが夢だったという星野源がマリンバ奏者としてまず演奏したのは、
YMOでお馴染みのマーティン・デニー「firecracker」。
細野さんも褒める華麗なマリンバ捌きを披露した。


さらに「テンポが違うだけで同じような曲を演奏します。サケロックはこの曲から命名したんだよね」
と、「SAKEROCK」を。
マーティン・デニーの曲が続けて披露された。
細野さんと共に、この日この場所でこの曲を演奏した元サケロックの星野源と伊藤大地の二人にとって大変意義のあることだったのではないだろうか。


そして「この曲は完全に余興」とのことで始まったのはジェームス・ブラウン「SEX MACINE」。
星野源はエレキギターに持ち替え、ファンキーなプレイを披露。

細野さんの渋い「ゲロッパ」、それに応える星野源のセクシーなコーラス、
林立夫、伊藤大地のタイトなリズム、コシミハルの力強く滑らかなピアノ、
それぞれエレキに持ち替えた高田渡と伊賀航のグルーヴ・・・

余興と言うにはもったいないイかした演奏に会場は大いに盛り上がった。


ここで「また後で出てもらうからね、僕なら帰っちゃうけど」と細野さんに言われ、星野源が一旦はける。


ブギウギin CHINA TOWN

続けて登場したのは日本で数少ないブギウギピアノのプロの一人である斎藤圭土。

近年の細野曲ではブギースタイルが多いこともあって、ゲストとして呼ばれることの多い彼に、
「本当に知り合えてよかった」と細野さん。
さらに「イケメンだしね。女性が喜ぶんですよ」と。

「House Of The Blue Lights」等ブギウギを数曲披露。
近年のライブでも頻繁に演奏される曲に軽快なピアノが加わることで、一層華やかな盛り上がりをみせた。


細野史ハイライト

ステージも終盤、演奏されたのは「Sports Man」「Body Snatchers」。
テクノ・ミニマムミュージック期の曲が、ハイテンポのカントリー調アレンジで披露された。


アンコールには「Pom Pom蒸気」が出演者全員で演奏された。
近年の細野バンドでもしばし演奏され、さらにサケロックオールスターズでもカバーされたナンバーということもあり、全員の演奏がこなれており、コーラスも息の合ったものが聴けた。


この「a NIGHT in CHINATOWN」は細野史における極めて重要なライブだったのではないだろうか。
セットリストはトロピカル期の曲から近年のレパートリーであるカントリーやブギウギ、さらにはテクノ・ミニマム期の曲まで多様で、細野さんのキャリアで変遷する音楽性をハイライトで聴いた気分になった。
細野さんの長い音楽歴と、その幅広い音楽性を痛感した。







星野源20年来の夢

このライブで個人的に印象に残っているのは星野源登場シーンだ。

シークレットゲストに来るとしたら鈴木茂かなと予想していたため、
星野源の登場には驚かされた。

細野さん星野源がと同じステージに立って演奏するのは相当レアではないだろうか。

個人的には福岡で2010年に行われた春フェスで観た、サケロックのステージに細野さんが参加した時以来の共演だった。


今から10年前くらいの星野源のブログで初めて細野さんと対談したときのことが嬉々として書かれていた。
当時星野源はサケロックとしてSTUDIO GROWNやスペシャ・ボーイズ等に出ては、細野さんの音楽の良さを力説していて、かなり好きなんだなと思った。

そんな細野さんと対談するだけでも当時としては相当の出来事だっただろう。
しかし、今や細野さんに曲を提供し、記念すべきライブに呼ばれてベタ褒めされ、サケロック原点の曲を一緒に演奏するという・・・。




16歳の頃から憧れ続けて20年。

なんとも感慨深く思える共演だった。


余談だが
このライブのすぐ後に行われたフェスに出演した星野源は、ギターで鈴木茂をゲストとして招いており、
フォロー(?)も抜かりないなと思った次第である。













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