2016年9月7日水曜日

ありがとう~小坂忠50周年記念ライブ~



” 歌う事は一生続けたい、たとえ一人になっても……”

エイプリル・フールのレコードで小坂忠の自己紹介欄に、こんな事が記されていた。
当時は1969年。

それから半世紀近く経った今年2016年、小坂忠はデビュー50周年を迎えた。

9月5日、そのアニバーサリー・イヤーを祝うライブが渋谷さくらホールにて開催された。


チケットも即売切れとなった本公演。会場も勿論満員。


70年代のオリジナル曲をセットリストとした第一部と、
カバー曲を中心とした第二部の、
二部編成のステージで行われ、以下のゲストが迎えられた。

鈴木茂、吉田美奈子、矢野顕子、中納良恵(EGO-WRAPPIN')、金子マリ、曽我部恵一、Asiah、尾崎亜美、松たか子、佐野元春、細野晴臣(シークレットゲスト)

バンドメンバーは、
佐橋佳幸/Dr.kyOn/小原礼/駒澤裕城/林立夫/西海孝/真城めぐみ/西村浩二/MONKY(BBBB)/YASSY(BBBB)、山本拓夫


こんな豪華なメンバーで行われるライブは、最高でしかなかった。
何より主役・小坂忠のボーカルが最高だった。


全員に配布されたパンフレット



オープニング・ナンバーは「はずかしそうに」~「好きなんだから」のメドレー。
小坂忠にとってボーカリストとして自信のなかったという時期の曲だが、歳を重ねて豊潤さが増したボーカルに思わず痺れそうになった。


次曲の「ボン・ヴォヤージュ波止場」以降、「HORO」からのナンバーが立て続けに歌われた。


一人目のゲストは”永遠のギター少年”鈴木茂。
鈴木茂がHOROに提供した「氷雨月のスケッチ」を披露。


1974年に「HORO」を出した小坂忠は、同時期にソロデビュー作「バンド・ワゴン」を出した鈴木茂と共に「ファースト&ラストツアー」というライブを行ったそうだ。
本日のオーディエンスにも当時のツアーを観に行ったという人も。


吉田美奈子も「HORO」をバックアップした最強のメンバーの一人。
彼女の存在感のある歌声が聴きどころの「機関車」「ほうろう」「しらけちまうぜ」 を披露。
さすがのボーカル。 小坂忠のソウルフルなボーカルをより引き立てるものだった。


もう一人は「HORO」にキーボードで参加し、「つるべ糸」を提供した矢野顕子。
ピアノを前に、小坂忠(+佐橋佳幸)と披露したのは勿論「つるべ糸」。
”秋の日は つるべ落とし”というこの時期ぴったりの歌詞も相まって、改めて曲の味わい深さを感じた。



最高のメンバーによる「HORO」の曲が披露され、第一部が終了したと思いきや、
「この人なしでは僕の音楽人生は語れません」と呼ばれ、細野晴臣が登場。

事前にアナウンスされていないことだったので、会場は感嘆でどよめいた。

小坂が細野を「エイプリル・フール」に誘って以降、多くの小坂作品に深く関わることとなる細野晴臣。
かつては狭山の米軍ハウスに隣同士で住んでいた二人。

小坂忠は今でも「オミちゃん」と呼んでいるそう。


そんな二人が披露した曲はもちろん「ありがとう」。
細野がリズムギター、小坂がセカンドギター、駒沢裕城がペダルスティールでの3人による、オリジナルよりテンポアップしたカントリー調の「ありがとう」はどこをとっても格別だった。


アルファレコード村井邦彦さんからの花も



第二部は一曲毎にゲストが入れ替わるステージだった。


黒のスーツに衣装チェンジした小坂忠とバンドメンバー。
ステージが一層華やいだ。

中納良恵(EGO-WRAPPIN')に始まり、金子マリ、曽我部恵一、Asiah、尾崎亜美、松たか子と順に登場したゲスト・ボーカルも華やか。
彼らとB.B.キングやサム・クック、ディラン等のカバーをデュエットした。

ときには力強く、ときには伸びやかに曲によって歌い方を変えつつ、パフォーマンスをする小坂忠。
歌うことの楽しさが伝わってくるステージだった。


中でも娘Asiahとのステージが印象的だった。
娘とデュエットのアルバムを出すのが夢だったという小坂忠。
日を同じくして発売された新アルバムでその夢が叶ったという。


第二部の最後を締めくくったゲスト・ボーカルは佐野元春。
佐野が小坂忠に提供した「ふたりの理由、その後」が披露された。


最後は、音楽監督を務めたダージリンン(Dr.kyOn/佐橋佳幸)とともに、
佐橋提供の「夢を聞かせて」が歌われ、本ステージが終了した。


アンコールは「You Are So Beautiful」。
コンサートのアンコールに歌うことが多いというこの曲は、本日発売の新アルバム「Chu Kosaka covers」のラストナンバーでもある。

さらに、本日の出演者全員がステージに集まり(矢野顕子・細野晴臣以外)「ゆうがたラブ」が全員で歌われた。
これでもかというほどファンキーなグルーヴに本日一番の盛り上がる会場。
最高潮のラストとなった。




たくさんの仲間と共に歌う小坂忠を観て、思い返したのはこの言葉。

” 歌う事は一生続けたい、たとえ一人になっても……”

半世紀前のこの言葉がぐっと響いた夜だった。



2016年9月5日


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