2016年10月18日火曜日

Eight Days A Week~BEATLES どのメンバーが好き?~

ビートルズのライブドキュメンタリー映画「Eight Days A Week」を観た。

ライブ映像のビートルズはかっこいい。
溢れんばかりの情熱とエネルギー、はち切れんばかりの若さ。
荒削りで遮二無二なパフォーマンス。
バンドの良さを遺憾なく発揮した、これぞロックバンドというようなライブ。
何よりも楽しそうに演奏している姿が良い。

もし自分が生でビートルズのライブを観ることができたなら、そのあまりのかっこよさに、きっと黄色い声をあげるだろう。
卒倒してしまうかも知れない。
多くのファンがそうであったように。

「ジョンのシャウトが一番かっこいいよ」
「誰よりもノリが良いパフォーマンスのポールが一番だ」
「ジョージの下まつげ、あれは最高にセクシーだ」
「激しく頭を振りながら演奏するリンゴが最高」
こんなふうにどのメンバーが好きかで盛り上がるだろう。

かく言う自分は俄然ポール派。
何故かって、ポールの曲が好きだから。


と言いつつも、ライブ映像を観ているとメンバー全員が魅力的に思えてくる。

今回の映画を観て改めていいな、と感じた彼らのパフォーマンスを3曲分取り上げてみた。



①「Help」



他愛ない恋をうたった曲が大半だった初期ビートルズ。ライブ演目も自ずとそういう曲で占められる。
しかし「Help」辺りから、ジョンの曲は自身の内面を曝け出した歌詞が多くなる。

曲調はあくまで明るいロックンロールだが、歌詞は自分を見失ってしまったジョンの悲痛な叫びだ。
「ジョンが初めて本当の自分のことをうたった曲だよ」とポールはインタビューで回想する。

ステージのジョンは思いっきり”Help”と叫ぶ。
ジョンの心の叫びがストレートに届く。

躊躇なく自分をさらけ出すジョンの姿はかっこいい。



②「All My Loving」



これぞ他愛ない恋をうたった曲。
ポールがつくった曲だけに曲調も明るく、軽快かつ陽気なポップスだ。
もちろんボーカルもポール。

なにがかっこいいかって、ベースを弾きながら歌うポールが良い。
この曲の動き回るようなベースライン、所謂ランニング・ベースをプレイしつつボーカルをとることは容易ではない。
しかし、ポールは涼しい顔でひょいひょいと演奏しているのだ。
音源だけでは気づきにくいが、演奏する手の動きを見ると改めてすごいと思わされる。

ジョンの3連で刻むギター、その間を縫うリンゴのシャッフルドラム、そしてこのランニング・ベースがともに交り合って生まれる軽快なグル―ヴも最高。

2番でジョージがポールと同じマイクでハモるところも最高。(オリジナル音源ではポールが多重コーラスをしているらしい)

心踊るパフォーマンス。心浮き立つメロディーとハーモニー。
楽しそうに演奏するフレッシュな4人を観て、心ときめかずにはいられない。



③ 「Baby is Black」



ライブといったら激しい曲の演奏シーンを浮かべがちだが、わりと落ち着いたワルツ調のこの曲がかっこいい。

「Can't Buy Me Love」や「I Wanna Be Your Man」、「It Won't Be Long」といったパワフルなロックンロールももちろんかっこいい。
だが、そういった盛り上がる曲の間にこの曲を挟むところが良い。

この曲が収録されたアルバム「BEATLES FOR SALE」の中でも「Baby is Black」はあまり目立たない曲かもしれない。
強いて言うならジョンとポールのダブルボーカルのハーモニーが美しい曲といった印象だ。
 
ライブ映像を観て良いと思った点は二人が同じマイクでうたうところだ。
ビートルズのライブで頻繁に登場するこの”二人でひとつもマイクでハモるシーン”も「Baby is Black」では特に良いと感じた。

落ち着いた曲なので、そのハーモニーをじっくりと味わうことができるからだ。

この曲はジョンとポールが同じ部屋で一緒につくったという。
こうした逸話を聞くと一層よさが増す。

ロックンロールから伝わる衝動的な情熱とは別の、静かな情熱がしたたかに伝わってくる曲だ。


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以上、今回ライブ映画を観て特に良いと思った3曲でした。

結局のところ、ジョンとポールが主に曲をつくっているゆえ、二人ばかりにフォーカスしてしまいましたが・・・


顔のタイプでいうと誰派かだって?
スチュワート・サトクリフですかね。
デビュー前のビートルズのベーシストで夭折した芸術家の。

何故かというと、昔好きだった人に似ているから。
・・・なんてね。


2016年9月22日木曜日

キリンジ心のベスト10~初期編~

ついに出ました。キリンジ初期5作アナログ。

5作とも無人島に持っていきたいレベルの作品なので、この日を待ちわびていました。

2014年にも冨田恵一によるリマスターで紙ジャケCDとしてリリースされたましたが、今回のアナログもこのときの音源を使用しているということです。

すべて2枚組のLPゆえ値段もそれなりにしますし、
もうリマスターCDは持っているしで今回のアナログはいいや、
とかいう邪念も少なからずありましたが、買ってしまいました。


半年前に出た「For Beautiful Human Life」も

「3」のインパクトが半端ない




ということで、この5作の中から心のベスト10を選んでみました。(収録アルバム順)


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①汗染みは淡いブルース


まずは1stから。
さわやかなエロティシズムを感じる兄の曲。

ラテン・ビートの出だしはスティーリー・ダン「Do It Again」を思わせますが、
爽快なホーンとハンドクラッピング、パーカッションっぽいユニークなコーラスが合わさることによってキリンジワールドに染まっていきます。

積乱雲と空のコントラストが眩しい夏の日に聴くと最高。

”背中に地図を描く”って一節に、汗であるにも関わらず美しい光景が目に浮かびます。
ここのメロディーがまた切ない・・・!


太宰治の短編「満願」の読後感に似たものを感じる曲です。

同じ”さわやかなエロティシズム”を感じる兄曲といえば「野良の虹」も良いです。

ちなみにYUKIも好きな曲だそう。(兄弟ラストツアーパンフに寄せられたYUKIのコメント参照)


②ニュータウン

 

こちらも1stの兄曲。

いつもの街の景色さえも新鮮に見えてしまうような強烈な恋を描いた曲。
おそらく、ここでの”ニュータウン”のニューとはそうした心理的なことなのではないでしょうか。

視覚的かつドラマティックにその様子が描かれた歌詞。
高揚感で溢れるサウンド。

恋の喜びによって胸が高まる様がありありと伝わってきます。



③唐変木のためのガイダンス

 

2ndから弟の曲。
バンジョーとフィドルが効果的なカントリー&ウエスタンソング。

「くよくよするなよ」「鋼鉄の馬」等、弟曲にはカントリーソングがわりと多いようです。

この手の弟曲は歌詞も楽観的でのんびりとしています。
心地よいヴォーカルと相まって、聴いていると和やかな気分になれます。


”大あくびにジャストミート” って歌詞、好きだなぁ。

2ヴァース目の何拍か間を置いて歌に入るところが地味にニクいです。



④さよならデイジーチェイン


弟によるシングルのカップリング曲。今回1stにボーナストラックとして収録されています。
この曲もアップテンポで、カントリー要素が強い作品です。

”今日もひとつホクロ見つけた 星座みたいに結んだら、君は笑うかな”
… このささやかな茶目っ気、好きです。


別れの曲 (シリアスな離別ではなく、帰り道での別れの歌だと思われます) ですが、明るい曲調が悲しみを感じさせず、爽やかです。
そのギャップが逆に切なくさせます。

似たような曲調の兄による「茜色したあの空は」も粋に別れが歌われていますね。


弟がキリンジとしての最後のコンサートでこの2曲を歌ったときは、思わず泣きそうになりました。



⑤癇癪と色気



兄によるシングルのカップリング曲。今回はボーナストラックとして2ndに収録されています。

タイトル通り、歌詞がなかなか際どいです。

「乳房の勾配」なんかもそうですが、兄の歌詞には際どいフレーズがたまに出てくるので、初めて聴いたときは戸惑います。
この曲のサビの歌詞にも動揺しましたね。際どい言葉がマシンガンのように出てきます。

アレンジやメロディーが洒脱で歌詞も文学的なので単にエロチックなだけではなく、品や知性が感じられます。
弟が無感情に近いくらいサラッとした歌い方をしているのも粋です。

”蠢く僕の指は花をあしらった賄賂贈る君に”
という一節は決して直接的な表現はないのですが、とてつもない官能美をもつ一節だと思います。


元は「好きさと放ってすぐに」という曲から歌詞の一部とアレンジを変えてつくられているみたいです。
こちらは初音源であるインディーズ盤にシークレットトラックとして収録されているがゆえ、デモ音源っぽさもあります。
この曲をあえてシークレットトラックとして選ぶセンスに痺れますね。



⑥風を撃て


弟による1st収録曲。
初音源であるインディーズ盤のオープニング曲でもあるのですが、初っ端からそのクオリティの高さに驚かされます。

旋風が立つようなコーラスから始まるイントロ。
颯爽とした突き抜けるようなサウンド。

歌詞は抽象的で難解ですが、イマジネーションが刺激されます。

まるで目の前に壮大なパノラマが広がるよう。



⑦ムラサキ☆サンセット



兄によるシングル曲。4thアルバム「Fine」のオープニング曲でもあります。

間奏の兄と弟によるギターソロの掛け合いが爽快かつ豪快です。


キリンジと引き合いに出される洋楽ミュージシャンといえばスティーリー・ダンが有名ですが、 ダンと共に活躍したドゥービー・ブラザーズやイーグルスのエッセンスも多くの曲で感じられます。

ムラサキ☆サンセットはダンから引っこ抜かれたジェフ・バクスターが加入した後からマイケル・マクドナルド的AOR色が強くなる前までのドゥービー・サウンドを彷彿させます。
豪快なロックとカントリー要素を含みつつ、いなたさとと洗練さとが拮抗している時期です。


イーグルスの影響といえば弟曲の「Lullaby」が有名ですね。「アルカディア」なんかも,っぽいです。

70年代の所謂ウエストコーストサウンドの影響が色濃く出ているように思います。
弟がイーグルス、兄がドゥービーズ、冨田ラボがダンのイメージでしょうか。あえて当てはめるなら。

キリンジの5作品がかつてウエストコーストロックを多く輩出したワーナーからリリースされたことにも少なからず関連していように思えてきます。



⑧冬のオルカ


インディーズ盤の2ndシングルである弟曲。1stアルバムにも収録されています。

スピード感あふれる爽快なロック。
兄とのコーラスの掛け合いも勢いがあり、心地よいドライブ感が増します。

オルカとはシャチのことですが、歌詞に出てくる”セダン”に見立てているのではないかと勝手に思ってます。
色合いといい、ソリッドなフォルムといい、似ているからです。

オルカの勢いよく泳ぐ姿とセダンの颯爽と駆け抜けていく様がシンクロします。


この曲もウエストコーストロックっぽいです。
”スタンピート”っていうドゥービー・ブラザーズの曲もありますしね。



⑨牡牛座ラプソディ



曲は共作、作詞は兄による、2nd収録のシングル曲。

弟曲の「双子座グラフィティ」と対になってるのが素敵です。

ちなみに兄は6月生まれの双子座、弟は5月生まれの牡牛座だそう。
ですが、お互いの星座を意識してつくったのではないようです。

「双子座グラフィティ」はエヴァーグリーンなラブソングであるのに対し、「牡牛座ラプソディ」は変化球的なユーモアある曲。


意味のないような歌詞ですが、遊び心ありつつ知的で鯔背な味わいを感じさせます。
楽曲自体も一癖あって、やみつきになる良さのある曲です。 シングルにするにはなかなか挑戦的な試みだったのではないでしょうか。



⑩代官山エレジー



最後は「omnibus」から。兄が藤井隆に提供した曲です。

”じゃんけんしたの覚えてる?勝ったら未来あげるって”…この一節の斬新さ、インパクトたるや。
ここをサビでなく2番冒頭にもってくるところにも脱帽。

"代官山""じゃんけん"という相容れない言葉ををひとつの歌詞にするセンス。
洒落た大人の街である代官山が舞台であるのに、じゃんけんで未来を決めてしまうような無邪気な恋愛を描いたギャップ。

洒落ていてどこか無邪気な、まさに"くすぐったい恋"ですね。


・・・って書き終わって気づいたんですが、この曲は松本隆 作詞でした。
少し強気な女性の描き方が、松本隆っぽいです。

メロディーもアレンジも代官山のイメージぴったりで、極めて都会的。


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以上初期キリンジ心のベスト10でした。


本当に全てが名曲なので10曲に絞るのにかなり悩みました。

今回のアナログには未収録ですが、
「水とテクノクラート」や「休日ダイヤ」なんかもこの頃のキリンジで好きな曲です。



キリンジ心のベスト10~兄弟時代後期編~:http://srysig.blogspot.jp/2017/03/10.html

クレイジー・サマー~夏に聴きたいキリンジの10曲~:http://srysig.blogspot.jp/2017/08/10.html 


2016年9月19日月曜日

SAKEROCK~細野晴臣40年ぶりの中華街ライブ 星野源20年来の夢~


2016年5月7日(土)、横浜中華街・同發新館にて行われた細野晴臣のライブ
「a NIGHT in CHINATOWN」を観に行った。


同發でのライブは、細野晴臣にとって“ちょうどトロピカルで異国的な音楽世界に入り込んでいた”時期に行われた1976年の中華街ライブ以来となる。

細野史にとって重要なこのライブから、今年で40年。
同じ日、同じ場所で今回のライブが開催された。



横浜 光る街

日が沈み、ネオンが輝き出す中華街。
人で溢れ、ひときわ賑やかな場所に、老舗中華レストラン「同發」は聳える。

会場は「同發新館」ということだが、ここも年期が入っている。細野さんのMCでも「“新館”なのに僕らみたいに年取っちゃってるね。」という一幕が。

赤と金を基調としたいかにも中華料理店といった会場に、マーティン・デニーのSEとくれば、気分はもはやオリエンタル。
およそ200人といった狭いキャパシティの客席の前方にステージが特設されていた。




ステージ後ろの赤い垂れ幕から高田漣さん、伊賀航さん、伊藤大地さん、コシミハルさんの近年細野バンド一同が入場。
それに続き、40年前もここでティン・パン・アレーとしてドラムを叩いた林立夫さん、そして最後に細野さんが大きな拍手を持って迎えられた。

オープニング・ナンバーは「北京ダック」。
“横浜 光る街~”まさに本日の一曲目にふさわしい選曲…!
40年前もこの場所で演奏された曲だ。

曲終わり即メンバー紹介。「後回しにすると忘れちゃうからね。」と細野さん。
「40年前、僕は28歳でした。あっという間だったよね。」と、当時もメンバーだった林さんに。
「僕より年上だったよね?」とトボけ「年は取っても追い越すことはありませんから。」とツっこまれる。


「香港blues」「熱帯夜」「はらいそ」と、トロピカル3部作からの曲を立て続けに披露。
ここ中華街、同發の異国情緒と相まって、会場はトロピカルな雰囲気で溢れた。


続いて白雪姫「ハイホー」のカバー。
同曲のSP盤を幼少期に聴きいたことが、細野さんの音楽体験の原点となったという話しを聞いたことがある。
「子ども向けの曲だけど、歌うと難しいんだ。」と細野さん。
ジャジーなアレンジはさることながら、通しで改めて聞いてメロディーの良さに気づかされる一曲だ。

近年のレパートリーを数曲演奏後、「すごいゲストを呼んでいます。」と意気込もった細野さんが迎えたシークレットゲストは…。


星野源登場

「紅白にも出てここへ来た人っていないんじゃないかな。」と細野さんが呼んだのは、今をときめく星野源。
40年前の細野さんのコスプレで登場した星野源は「口ヒゲも書いて来ようと思ったんですが、明日は書きます。」と。

さらに本日演奏するのはマリンバということで、若き日の細野さんさながらの出で立ちだ。

「星野くんは努力の人です。マリンバも一生懸命練習して。マリンバ奏者になれるよ」
「僕の後は頼んだよ」という細野さんの紹介に静かに謙遜する星野源。


そんな星野源は 細野さんのことを「HOSONO HOUSEを高1のころ聴いて以来、憧れの存在です」と。
さらに、40年前の細野さんの中華街ライブの映像を見てかっこいいと思い、マリンバを始めたという。

細野さんと同じステージに立つのが夢だったという星野源がマリンバ奏者としてまず演奏したのは、
YMOでお馴染みのマーティン・デニー「firecracker」。
細野さんも褒める華麗なマリンバ捌きを披露した。


さらに「テンポが違うだけで同じような曲を演奏します。サケロックはこの曲から命名したんだよね」
と、「SAKEROCK」を。
マーティン・デニーの曲が続けて披露された。
細野さんと共に、この日この場所でこの曲を演奏した元サケロックの星野源と伊藤大地の二人にとって大変意義のあることだったのではないだろうか。


そして「この曲は完全に余興」とのことで始まったのはジェームス・ブラウン「SEX MACINE」。
星野源はエレキギターに持ち替え、ファンキーなプレイを披露。

細野さんの渋い「ゲロッパ」、それに応える星野源のセクシーなコーラス、
林立夫、伊藤大地のタイトなリズム、コシミハルの力強く滑らかなピアノ、
それぞれエレキに持ち替えた高田渡と伊賀航のグルーヴ・・・

余興と言うにはもったいないイかした演奏に会場は大いに盛り上がった。


ここで「また後で出てもらうからね、僕なら帰っちゃうけど」と細野さんに言われ、星野源が一旦はける。


ブギウギin CHINA TOWN

続けて登場したのは日本で数少ないブギウギピアノのプロの一人である斎藤圭土。

近年の細野曲ではブギースタイルが多いこともあって、ゲストとして呼ばれることの多い彼に、
「本当に知り合えてよかった」と細野さん。
さらに「イケメンだしね。女性が喜ぶんですよ」と。

「House Of The Blue Lights」等ブギウギを数曲披露。
近年のライブでも頻繁に演奏される曲に軽快なピアノが加わることで、一層華やかな盛り上がりをみせた。


細野史ハイライト

ステージも終盤、演奏されたのは「Sports Man」「Body Snatchers」。
テクノ・ミニマムミュージック期の曲が、ハイテンポのカントリー調アレンジで披露された。


アンコールには「Pom Pom蒸気」が出演者全員で演奏された。
近年の細野バンドでもしばし演奏され、さらにサケロックオールスターズでもカバーされたナンバーということもあり、全員の演奏がこなれており、コーラスも息の合ったものが聴けた。


この「a NIGHT in CHINATOWN」は細野史における極めて重要なライブだったのではないだろうか。
セットリストはトロピカル期の曲から近年のレパートリーであるカントリーやブギウギ、さらにはテクノ・ミニマム期の曲まで多様で、細野さんのキャリアで変遷する音楽性をハイライトで聴いた気分になった。
細野さんの長い音楽歴と、その幅広い音楽性を痛感した。







星野源20年来の夢

このライブで個人的に印象に残っているのは星野源登場シーンだ。

シークレットゲストに来るとしたら鈴木茂かなと予想していたため、
星野源の登場には驚かされた。

細野さん星野源がと同じステージに立って演奏するのは相当レアではないだろうか。

個人的には福岡で2010年に行われた春フェスで観た、サケロックのステージに細野さんが参加した時以来の共演だった。


今から10年前くらいの星野源のブログで初めて細野さんと対談したときのことが嬉々として書かれていた。
当時星野源はサケロックとしてSTUDIO GROWNやスペシャ・ボーイズ等に出ては、細野さんの音楽の良さを力説していて、かなり好きなんだなと思った。

そんな細野さんと対談するだけでも当時としては相当の出来事だっただろう。
しかし、今や細野さんに曲を提供し、記念すべきライブに呼ばれてベタ褒めされ、サケロック原点の曲を一緒に演奏するという・・・。




16歳の頃から憧れ続けて20年。

なんとも感慨深く思える共演だった。


余談だが
このライブのすぐ後に行われたフェスに出演した星野源は、ギターで鈴木茂をゲストとして招いており、
フォロー(?)も抜かりないなと思った次第である。













2016年9月7日水曜日

ありがとう~小坂忠50周年記念ライブ~



” 歌う事は一生続けたい、たとえ一人になっても……”

エイプリル・フールのレコードで小坂忠の自己紹介欄に、こんな事が記されていた。
当時は1969年。

それから半世紀近く経った今年2016年、小坂忠はデビュー50周年を迎えた。

9月5日、そのアニバーサリー・イヤーを祝うライブが渋谷さくらホールにて開催された。


チケットも即売切れとなった本公演。会場も勿論満員。


70年代のオリジナル曲をセットリストとした第一部と、
カバー曲を中心とした第二部の、
二部編成のステージで行われ、以下のゲストが迎えられた。

鈴木茂、吉田美奈子、矢野顕子、中納良恵(EGO-WRAPPIN')、金子マリ、曽我部恵一、Asiah、尾崎亜美、松たか子、佐野元春、細野晴臣(シークレットゲスト)

バンドメンバーは、
佐橋佳幸/Dr.kyOn/小原礼/駒澤裕城/林立夫/西海孝/真城めぐみ/西村浩二/MONKY(BBBB)/YASSY(BBBB)、山本拓夫


こんな豪華なメンバーで行われるライブは、最高でしかなかった。
何より主役・小坂忠のボーカルが最高だった。


全員に配布されたパンフレット



オープニング・ナンバーは「はずかしそうに」~「好きなんだから」のメドレー。
小坂忠にとってボーカリストとして自信のなかったという時期の曲だが、歳を重ねて豊潤さが増したボーカルに思わず痺れそうになった。


次曲の「ボン・ヴォヤージュ波止場」以降、「HORO」からのナンバーが立て続けに歌われた。


一人目のゲストは”永遠のギター少年”鈴木茂。
鈴木茂がHOROに提供した「氷雨月のスケッチ」を披露。


1974年に「HORO」を出した小坂忠は、同時期にソロデビュー作「バンド・ワゴン」を出した鈴木茂と共に「ファースト&ラストツアー」というライブを行ったそうだ。
本日のオーディエンスにも当時のツアーを観に行ったという人も。


吉田美奈子も「HORO」をバックアップした最強のメンバーの一人。
彼女の存在感のある歌声が聴きどころの「機関車」「ほうろう」「しらけちまうぜ」 を披露。
さすがのボーカル。 小坂忠のソウルフルなボーカルをより引き立てるものだった。


もう一人は「HORO」にキーボードで参加し、「つるべ糸」を提供した矢野顕子。
ピアノを前に、小坂忠(+佐橋佳幸)と披露したのは勿論「つるべ糸」。
”秋の日は つるべ落とし”というこの時期ぴったりの歌詞も相まって、改めて曲の味わい深さを感じた。



最高のメンバーによる「HORO」の曲が披露され、第一部が終了したと思いきや、
「この人なしでは僕の音楽人生は語れません」と呼ばれ、細野晴臣が登場。

事前にアナウンスされていないことだったので、会場は感嘆でどよめいた。

小坂が細野を「エイプリル・フール」に誘って以降、多くの小坂作品に深く関わることとなる細野晴臣。
かつては狭山の米軍ハウスに隣同士で住んでいた二人。

小坂忠は今でも「オミちゃん」と呼んでいるそう。


そんな二人が披露した曲はもちろん「ありがとう」。
細野がリズムギター、小坂がセカンドギター、駒沢裕城がペダルスティールでの3人による、オリジナルよりテンポアップしたカントリー調の「ありがとう」はどこをとっても格別だった。


アルファレコード村井邦彦さんからの花も



第二部は一曲毎にゲストが入れ替わるステージだった。


黒のスーツに衣装チェンジした小坂忠とバンドメンバー。
ステージが一層華やいだ。

中納良恵(EGO-WRAPPIN')に始まり、金子マリ、曽我部恵一、Asiah、尾崎亜美、松たか子と順に登場したゲスト・ボーカルも華やか。
彼らとB.B.キングやサム・クック、ディラン等のカバーをデュエットした。

ときには力強く、ときには伸びやかに曲によって歌い方を変えつつ、パフォーマンスをする小坂忠。
歌うことの楽しさが伝わってくるステージだった。


中でも娘Asiahとのステージが印象的だった。
娘とデュエットのアルバムを出すのが夢だったという小坂忠。
日を同じくして発売された新アルバムでその夢が叶ったという。


第二部の最後を締めくくったゲスト・ボーカルは佐野元春。
佐野が小坂忠に提供した「ふたりの理由、その後」が披露された。


最後は、音楽監督を務めたダージリンン(Dr.kyOn/佐橋佳幸)とともに、
佐橋提供の「夢を聞かせて」が歌われ、本ステージが終了した。


アンコールは「You Are So Beautiful」。
コンサートのアンコールに歌うことが多いというこの曲は、本日発売の新アルバム「Chu Kosaka covers」のラストナンバーでもある。

さらに、本日の出演者全員がステージに集まり(矢野顕子・細野晴臣以外)「ゆうがたラブ」が全員で歌われた。
これでもかというほどファンキーなグルーヴに本日一番の盛り上がる会場。
最高潮のラストとなった。




たくさんの仲間と共に歌う小坂忠を観て、思い返したのはこの言葉。

” 歌う事は一生続けたい、たとえ一人になっても……”

半世紀前のこの言葉がぐっと響いた夜だった。



2016年9月5日


2016年7月30日土曜日

フクロウの声が聞こえる~小沢健二「魔法的ツアー」を終えて~

6月23日に観に行った小沢健二「魔法的ツアー」の雑記。



オザケンにとって、2年ぶりとなるツアー。


今折に触れて思い出すのは、新しい曲の演奏シーン。

「ドアノック」だとか「ラブリー」だとかオザケン黄金期の聴き込み・聴き慣れた曲の演奏でなく。


魔法的電子回路のきらきらとした光景とともに思い出す。


魔法的電子回路。眩しいくらいの強い光。



「魔法的ツアー」は、新曲とその歌詞にクローズアップした内容だった。


公式ページのオザケンによるツアーに向けてのメッセージは、
新しい曲をたくさんやります、ということだった。

その宣言通り、多くの新曲が演奏された。

アンコールには、新曲のみのダイジェスト演奏もなされた。


真っ暗な会場で、魔法的電子回路が光る中、ファンキーな演奏が始まる。
1stアルバムのリードトラック「昨日と今日」での幕開けだ。

以降立て続けに新曲が披露される。

曲調は「Do It Again」や「Peg」のようなものがあったりと、フェイゲンやスティーリー・ダン等、80’sニューヨークを思わせるものが多かった。
NY在住のオザケンだけあって、本場の音を体現しているかのようだった。


歌詞は殆どがバックスクリーンに映し出されていた。
新曲の歌詞を、新たなメッセージを頭に刻み込んでほしい、ということだろうか。

映し出された新曲の歌詞は、かつての曲の平易でダイレクトに伝わる歌詞とはうって変って、よりアカデミックな言葉で紡がれ、レトリックが幾重にも含蓄されたものだった。

正直、一回見ただけでは理解し難く、哲学書を読んでいる気分に近いものを感じた。
(とある新曲には「文学的」 という直球過ぎる言葉があって、これに関してはどうしたものかと思ってしまった。)

この日も歌われたかつての人気ナンバー「ドアノック」「ラブリー」のように、恋愛によって人生を謳歌する明快なラブ・ソングは新曲にはなかった。

ただ、その本質は変わらず、「愛」だったり、「生きることへの歓び」だったりということは何となく伝わってきた。


とりわけ印象的だったのは「フクロウの声が聞こえる」という新曲だ。

2曲目に演奏され、アンコールとして一番最後にもフルで演奏された。
いわば、エピローグ・プロローグの役目の曲といったとこだろうか。

森の中でお父さんとその子供がでてくるメルヘンチックなシチュエーションの歌詞だった。

内容は
世界は広いし、生きていればいろんな事が起こる、ときには辛く悲しいことも。
だけど「愛」や「歓び」といった素晴らしいこともあるんだよ。

・・・というようなことをうたっているように感じられた。

このように教訓を含んだ童話を読むような、父親目線の優しさが多くの新曲から伝わった。
かつての曲には見受けられない歌詞だった。

こうした歌詞に見られる変化は、世界の様々な国を旅し、結婚して父親になったオザケン自身の変化ゆえのものなのだろう。



 「都市」と「歌詞」~松本隆から小沢健二へ~


歌詞と言えばもうひとつ触れておきたいことがある。

松本隆とオザケンの関係についてだ。


日本のロック/ポップスを中心とした魔法的の会場SEは、
ceroや片思いといった最近の曲から昭和歌謡まで新旧問わずの選曲だった。

中には、大瀧詠一「君は天然色」や松田聖子「SWEET MEMORIES」といった松本隆作詞作品も流れた。

かの松本隆は今回のツアーの大阪講演を観に行ったようだ。
オザケンとは20年ぶりの再会だったという。



両者の歌詞に共通するのは
「都市」やそこに生きる人を、文学的で洗練された言葉で描いた点だ。


この魔法的ツアーと並行して2都市で美術館ツアーが行われた。
そのタイトルは「言葉は都市を変えてゆく」というものだった。

このタイトルが示す通り、オザケンの音楽は「都市」「歌詞」が重要なキーワードである。
ソロとして活動する以前のリッパーズ・ギター時代から、都市に生きる人のライフスタイルを描き、都会的音楽のムーブメントである「渋谷系」の象徴となった。


松本隆はというとはっぴいえんど時代から風街という都市を描き、70年代80年代のいわゆる「シティポップ」の中心的存在となった。

フリッパーズ・ギターの片割れ小山田圭吾が細野晴臣と強い繋がりがあるならば、
オザケンは松本隆といったところだろう。

テクノやミニマムミュージックというジャンルにおいて世界的に有名となった細野と小山田。

歌謡曲において「街」や「都市」を根底とした、文学的な歌詞でヒット曲を生みだした松本と小沢。


ちなみに某音楽誌が発表した邦楽アルバムベスト100において、
80年代と90年代の第1位はそれぞれ大滝詠一「A LONG VACATION」と小沢健二「LIFE」であった。

はっぴいえんどからフリッパーズ・ギターへ
各々のソロへ

日本のロック/ポップスにおいて受け継がれていくバトンが垣間見えた。



魔法的とは、おとぎの世界にいるような非日常的シチュエーション


「魔法的ツアー」の演出は語弊があるかもしれないが、「お遊戯」そのものだった。
「お遊戯」といっても決して子どもじみたものではない。

おとぎ話のお遊戯の世界にいるような、非日常的な演出だった。



まず、演奏者の衣装。
オザケンは頬に白い波のようなペイントを施し、カラフルな草花が描かれた髪飾りのようなものを左おでこにつけていた。

オザケン以外の演奏者はカラフルな頬のペイントに加え、草花があしらわれた派手な冠のようなものを被っていた。

衣装自体は白を基調とした変哲のないものだったが、この顔周りの演出はなんだかお遊戯っぽかった。



そして、歌いながら皆で踊ろう、という演出。

今回に限らずオザケンのライブは皆でうたって踊って楽しむことが醍醐味のようなものだが、
今回新しい曲の演奏時にがっつりと聴衆の参加を煽っていた。

新しい曲の歌詞や振り付けをオザケン自身がレクチャーする場面があったのだ。

何公演も観に行く人もいて、そういう熱心なファンはレクチャーのなかった新曲の振付も歌詞までもマスターしていた。


たくさんの大人がお遊戯をするのは不思議な光景だった。

(個人的には聴き慣れた曲ならともかく、初めて聴く曲を歌って踊って楽しむことは気恥ずかしかった。
気後れしながら、このツアーを見に行っているであろうタモリも踊ったのか、ということが気になった。
入園前に幼稚園児の「きらきら星」かなんかのお遊戯を見て、オレはあんなことするくらいなら幼稚園には行かないと決意したというタモリ。いくら オザケンが好きとはいえ、踊らないよな・・・)



最後にこのライブの演出で、一番印象に残った閉幕時のシーン。

それはおとぎ話のお遊戯の世界にいるような非日常的な空間から、フッと現実に戻った瞬間だった。


アンコールも演奏し終え、退場しようとするオザケンが、
やだー、とただをこねる観客に向かって、
「大丈夫、大丈夫だから・・・!」と
もう子どもじゃないからね、というようにあやす口調で言葉を投げかける。


セリフじみた、だけど最高に素敵な魔法の言葉を皮切りに、静かに暗転、閉幕した。

「日常に帰ろう」

ほんとうに静かに、フッと魔法が解けたようだった。


思わずゾクッとする粋な引き際だった。



 「フクロウの声が聞こえる」


朝目覚めたとき、電車を待っているとき、この曲がふと脳裏によぎることが幾度もある。

魔法的電子回路の光の瞬きとともに。


新しい曲で唯一2回演奏されたから、とりわけ焼き付いてしまった。とてもやさしい歌。


「帰り道に体に残っているのは、新しい曲たちだと思います。」

という、ツアーに向けてのオザケンの言葉通り、新しい曲が体に残った。



こんなふうになんでもない日常の中に、非日常的な瞬間がよぎるとき、

ああ自分は今、魔法にかかっているんだな。
ささやかな魔法に。

なんて思ったりする。


魔法的ってこういうことなんだろうな。



2016年7月9日土曜日

恋は桃色~細野晴臣 七夕ライブ~




細野さんの七夕ライブに行きました。


この日のライブは女性限定という、細野さん初の試みだそうです。




入場の様子。見事に女性だらけ。


会場の青山CAYでは永井博さんの個展も開催されていたようで、いたるところにイラストが飾られていました。


細野さんが参加したロンバケも。



入場と引き換えに短冊を渡されました。
細野さんに叶えてほしいことを書いてください、という七夕ならではの企画とのことです。


本日の細野さんは、珍しく上下スーツできめていました。
近年の細野さんの衣装はボーダーもしくは白のTシャツに黒いチョッキというラフな格好がほとんど。女性限定のライブなので、ダンディーな衣装にしたのでしょうか。



ステージに立つやいなや、
「すごい景色だね」
と、女性で埋め尽くされた会場に感嘆。



高田漣さんをサポートに弾き語りのライブが始まりました。


この日はだいたい10曲程披露。
古い曲のカバーとオリジナルが半々くらいのセットリストでした。

漣さんは曲によってはマンドリンに持ち替えていました。



一曲目は 「Angel on my Shoulder 」。1960年前後に活躍した女性フォークシンガーShelby Flintのカバーです。





二曲目もカバーで、先日の港街ツアーでも披露した白雪姫「ハイホー」。ツアーバンドでのアレンジはジャジーな感じでしたが、本日は弾き語りで。

曲の最後、ハーパース・ビザール等もカバーした「ハッピー・トーク」のワンフレーズをさり気なく取り入れていて、ニヤリとさせられました。




港街ツアーの演目からは「北京ダック」も。弾き語りだと曲の印象がガラッと変わり新鮮でした。
細野さん曰く、弾き語りで披露したのは初めて、とのこと。
これは貴重…!




そして弾き語りといえば、あのアルバムからも。



「HOSONO HOUSE」から一曲演奏してくれませんか、
という短冊の願い事を叶える細野さん。



こんなコードよく思いついたもんだよ…と、おもむろに弾き始めたその曲は「恋は桃色」。
途中の歌詞を忘れるというハプニングもありましたが、この曲を演奏してくれて大変嬉しかったです。




この曲の歌詞の
“おまえの中で雨が降れば 僕は傘を閉じて濡れていけるかな”
って部分最高じゃないですか…?

傘を差し出すのではなく、同じ立場に身を置くことで相手を理解しようとする心遣い。
女性の共感心理を巧みに捉えた歌詞ですね。


この曲を女性限定ライブで演奏するなんて、細野さんどんだけ粋なんだ…!!!



最近ライブで演奏しているというカバー曲「El Negro Zumbon (Anna)」も良かったです。
調べてみると、1951年公開のイタリア映画の主題歌ということ。

細野さんの曲で、ヨーロピアンの曲を聴くは初めてだったので、これまた新鮮でした。
気分はもはや地中海。


細野さんの曲って、異国情緒あふれるものが多いと思うんです。
米国に始まり、香港だったり、カリブだったり…。
しかも異国なのになぜか郷愁を誘うという不思議。

とある街を抜け出し、無風状態で船に乗り、いろんな時代や国を行き来してる細野さん。

旅はいまだ続いてるんだな…とつくづく思いました。


この曲はレコーディングはまだやっていないとのことなので、音源化が楽しみです。





本日の細野さんはとにかく沢山しゃべっていました。自分が今まで観た細野さんのライブでもダントツのMC時間でした。


いつも以上のお茶目さと肩の力が抜けたような緩さでトークをする細野さん。


子供のころの話から、女性遍歴、病気遍歴までも。


印象に残ったのはお父さんの話。

米軍基地に勤めていたお父さんはアメリカン・コメディが大好きだったそうで。
細野さんのおちゃらけ好きはお父さん譲りなんですね。


本日も、みゆき族の歩き方の真似をします、とコミカルな姿を披露。会場は爆笑で包まれました。


女性に囲まれた異空間を楽しんでるようでした。



終演後には、2日後の7月9日が誕生日の細野さんにケーキが振る舞われるというサプライズが。
たくさんの女性に囲まれて祝われる細野さん。



七夕の願いが叶ったお客さんにとっても、細野さんにとっても、特別な一夜になったのではないでしょうか。




2016年7月7日



2016年7月7日木曜日

Hey,Schoolgirl~Tom & Jerryを知ってるかい?~

二人組のミュージシャンっていいよね。

息の合ったハーモニーと演奏。
デュオという最小単位の編成だからこそ成せる音楽。

ロックやポップスの世界には数多のデュオが存在する。
いわゆるフォーク・デュオ、アコースティック・デュオ、って呼ばれる二人組は特に多かったりする。


では、トム&ジェリーを知ってるかい?
あの猫とネズミのアニメーションから名を拝借したデュオを。




のちに、多くのヒット曲で世界的に名の知られる存在となるこの二人組。



そう、若かりし頃のサイモン&ガーファンクル。


「ヘイ、スクールガール」は彼らのレコードデビュー曲。


ファッツ・ドミノやリトル・リチャードを彷彿させるR&B。


プロのウッドベース奏者の父と小学校教諭の母を持つポール・サイモン。

セールスマンと主婦であるが、歌うことが大好きな両親を持つアーサー・ "アート" ・ガーファンクル。


音楽に慣れ親しんできた2人は、小学校高学年のとき出会い、意気投合する。

自然な流れでデュオを結成し、ハイスクールのダンスパーティーで演奏し喝采を浴びる。14歳の時には共作した曲を初めて著作権登録した。


16歳のとき、エヴァリー・ブラザーズ「バイ・バイ・ラブ」に衝撃を受け、スタジオデモテープを作る。


のちにS&Gでカバーすることとなる。


このスタジオデモのセッションで、2人のハーモニーをたまたま聴いていたレコード・プロデューサーの目にとまり、ビッグ・レコードからデビューが決まる。



「ベイビー・トーク」はThe Laurelsのカバー。この手のドゥーワップはアーティが特に好んだようだ。
後にサーフィン/ホット・ロッドデュオのジャン&ディーンもカバーする。


ジャン&ディーンVerはナイアガラファンにはおなじみ。


「トゥルー・オア・フォールズ」は、ポールがトゥルー・テイラー名義でリリースした曲だ。作曲は父親のサイモン・ルイス。彼はロックンロールに反感を持っていたのだが、曲調はエルヴィスそのもの。


次なるエヴァリー・ブラザーズでなく、あくまで次なるエルヴィスになりたかったポール。

野心家のポールは、アートの断りなくソロ活動を始める。それに裏切られたと感じたアートは深く傷つく。事あるごとに徐々に広がる2人の亀裂がここで初めて生じた。

ポールのソロ活動はこれにとどまらず、ジェリー・ランディス名義での楽曲提供や、ティコ&ザ・トライアンフス名義でシングルを発表するなどした。

アートもアーティ・ガー名義でソロデビュー。


しかし、いずれの活動も、「ヘイ、スクールガール」以上の功績を残すことはなかった。



トム&ジェリー

当時流行ったロックンロールやドゥーワップの曲調に、いたいけな歌詞とヴォーカル。10代ならではの溌剌とした持ち味が発揮されている。
S&Gのようなオリジナリティがあるとは言えないが、2人のハーモニーのきめ細かな美しさにその片鱗が覗く。